第8回学術講演会
- 日時
- 平成22年9月18日(土) 13:30〜17:00
- 場所
- 愛媛大学(城北キャンパス)グリーンホール
今年度の学術講演会は、146名(東予地区:25名、中予地区:97名、南予地区:24名)と多くの方にご参加いただきました。 学術講演会は、会の発足以来初めての豪華2本立てでの開催となりました。
高知大学の味村俊樹先生の講演では、「排便障害の診断と治療」というタイトルで、正常な排便のメカニズムや便失禁の診断と治療、また、便秘の診断と治療について話されました。排便に関する基礎的な知識や排便障害の診断と治療についての最新情報を提供していただきました。排便障害の原因・病態は多種多様であり対象に応じた治療やケアが選択されるべきであることが再認識できたご講演でした。
松山赤十字病院の山木一恵先生の講演では、排泄ケアが高齢者の自尊感情に関わる重要なケアであることやおむつを使用する意味を考える必要性を強調されました。満足される排泄ケアの実施をするために、おむつを使用する際に注意したいことや皮膚障害に対する具体的な対処法についてなど話され、実践に活用できる内容のお話でした。
実践報告は、平成21年度第2回地区別勉強会で発表していただいた施設の中から、東予地区は特別養護老人ホーム若水館、中予地区は特別養護老人ホーム和光苑、南予地区は介護老人保健施設長浜ひまわりに発表していただきました。
若水館の事例報告では、オムツに常に失禁している利用者に残尿があることに気づき、泌尿器科を受診した事例でした。適切な医療を受けることにより残尿が少なくなり、睡眠状態の改善や活動性が上昇するといった嬉しい報告がありました。
和光苑の事例報告では、尿意の訴えが頻回な利用者の排尿・排便状態のアセスメントから、膀胱炎の治療や下剤の減量を実施したり、座位姿勢の安定を図るシーティングを行うなどのケアを実施し、尿意の訴えが減り落ち着いて過ごすことができるようになった実践経過が報告されました。
長浜ひまわりの事例報告では、多くの入居者が認知症を抱えていても、排泄をするための環境調整や声のかけ方の工夫など様々な取り組みによりその人らしい排泄を支援することが可能であることを発表されました。そして、そのためには、職員同士が自由に意見が言える職場環境をつくることの大切さを強調されました。
開会の挨拶
えひめ排泄ケア研究会 代表世話人 陶山 啓子
【第一部:学術講演】
座長 泌尿器科 あらきクリニック 院長 荒木 映雄
「排便障害の診断と治療」
講師 高知大学医学部附属病院 中央診療施設 骨盤機能センター 部長
高知大学医学部 特任教授 味村 俊樹 先生
【味村俊樹先生のご紹介】
和歌山県和歌山市生まれ。昭和63年、東京大学医学部卒業後、東京大学医学部第3外科に入局。消化器一般外科を研修の後、平成10〜12年の3年間にわたって英国セントマークス病院に留学し、排便障害の診療、研究に従事。帰国後は、帝京大学医学部外科講師として大腸肛門外科の診療に従事するかたわら、排便障害に関する研究論文や著書を発表。寿廣(じゅこう)記念会岸病院副院長を経て、平成20年6月に高知大学へ移籍。現在,同大学に骨盤機能センターを新設し、センター部長、特任教授として排便障害の診療、研究とこの領域の啓蒙活動に専念している。
「高齢者の排泄ケア −おむつを用いた失禁ケア−」
講師 松山赤十字病院 皮膚・排泄ケア認定看護師 山木 一恵
【山木一恵先生のご紹介】
松山赤十字病院 地域医療連携課 勤務
平成15年 皮膚・排泄ケア認定看護師の認定を受ける。
【第二部:実践報告】
地区別報告会
座長 えひめ排泄ケア研究会 代表世話人 陶山 啓子
東予地区 「排泄ケアにおける“残尿に気づく”ことの重要性」
若水館 井上 早苗
中予地区 「頻回なトイレの訴えをシーティングにより改善した事例」
和光苑 小村 友紀、村上 直樹
南予地区 「トイレすんだ?-当施設での排泄個別ケアへの取り組み-」
長浜ひまわり 石山 ひとみ
閉会の挨拶
えひめ排泄ケア研究会 監事 岩田 英信
会場にて、おむつ等の排泄ケア用品を展示